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救済者

2016/05/15

★救済者
体験者:Yさん

もうかれこれ15年ほど前のことになります。
長野県の実家から仕事場のある新潟県のアパートに戻る途中のこと。
午前1時を過ぎていたことと2時間ほども曲がりくねった山道を運転し続けていたことからの疲れもあって、僕はいつしかウトウトしかけていました。
新潟県境は知っている方もいるかと思いますが、津南町を抜けていくコースはとてもすれ違いできないほどの細道で、ぐねぐねと急カーブの連続です。
しかも片側は山、反対側は切り立ったがけになっていて、そのはるか下を信濃川が流れているといった危険極まりない状況がずっと続きます。
そんなところで居眠りでもしようものなら結果はわかりきっています。

僕はずっと気を張って運転し続けていたのですが、とうとう疲れと睡魔に耐え切れず眠ってしまいました。
心地よく遠のいていく意識の中で、僕は不意に誰かの声を聞いたのです。
それは低いけれどもしっかりとした強い声で「あぶない!」と、そう叫んでいました。
僕はその声で瞬間に我に返り、目を開けて見ると目の前には右カーブのガードレールが目前に迫っているのでした。
僕は必死でハンドルを切り、間一髪のところで転落を免れ、崖ぎわの雑木の中に前部を突っ込んだだけですみました。
呆然とした僕はしばらく何が起こったのかわからずにいましたが、もう何も聞こえませんでした。

低いけれども落ち着いたその声は50歳ぐらいの中年男性のようであり、当時20歳代でどちらかというとハイトーンだった僕の声とは明らかに違うものでした。
どこか懐かしく、そしてホッとするような響きをもったその声はいったい何だったのでしょうか。
その時の声の響きが耳に残っていて今でも忘れられません。
感謝しています。

僕のささやかな不思議体験は以上のようなものですが、ン十年も生きているとけっこう不思議な体験をするものです。
今回の他にもいくつかありますが、よろしければまたそのうちにお送りしたいと思っています。

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