ご先祖様の武勇?
2016/05/15
★ご先祖様の武勇?
体験者:謎の人物さん
僕の祖父が、前の家(僕が生まれる前の家)を建て直す際に、茶の間の畳をどかしたところ、大量の巻物が出現したそうです。
巻物は、その殆どが虫に喰われていたそうですが、うちいくつかは保存状態良好で残っていたそうです。
その後、20年以上巻物は忘れ去られて物置の奥に保管されてありましたが、丁度叔父が大学に入った時、叔父が大学で日本文学を教えてもらっている教授が、是非それを見せて欲しいということで、約数十年ぶりに引き出されました。
その内容を現代語訳に直してみると、以下のような奇妙な内容と解かりました。
明暦3年(1657年)。
静岡県の、今住んでいる土地に移り住んできた僕の先祖、海丸(かいまる)は、極普通の農民であったらしいです。
ある夏の日のこと、夜遅くまで海丸が弟の満則(みつのり)と田圃の仕事に暮れていると、近くの、田圃に水を引いている沼の方から、ずりずりと奇妙な物音が聞こえて来たので、気になって覗いてみたところ、上半身は口が耳のあたりまで裂けた女のそれで、下半身は蛇という3メートル近い珍妙な怪物が、沼の淵より上半身を出して、山犬(ニホンオオカミ)を喰らっているところに出くわしたそうです。
異形の女は、瞬く間に山犬を飲み込むと、海丸たちに向けてこう言ったそうです。
「私の醜い姿を見たな! 生かしておけぬ」
阿修羅の形相で沼から這い上がってきた怪物に、海丸は恐ろしくなって、持っていた農耕用の鍬を怪物に向けて振り下ろしたそうです。
それは偶然にも怪物の首に命中し、怪物は悶え苦しみました。
それを見た海丸と満則は、鍬を何度も怪物の身体へと振り下ろし、殺してしまいました。
茫然と怪物の亡骸を見やる海丸と満則のところに、突然一人の僧侶が現れて、こう告げたそうです。
「あなたたちの殺したこの物の怪は、遠い昔、ある女が、永遠の美しさを手にしたいがために、釈迦の宝を盗んだ罰としてこのような姿に変えらてしまったものなのです」
信仰心の強かった海丸と満則は、僧侶とともにこの哀れな女の罪を許してくださるよう釈迦に願うと、怪物の亡骸は一羽の鳥に変じ、空高く舞い上がっていったそうです。
……どうでしょうか? 海丸や満則という先祖が、本当に実在していたのか、そもそもこの話自体が本当にあったことなのか、それは解かりませんが、僕の推測からすると、これは、信仰心の強い僕のご先祖様が、何かの教訓として書き残した物ではないのでしょうか?
もう一巻、無事なもので、こちらは海丸が一人で山菜取りに行った時に遭遇した怪物の話もあるのですが、こちらは、いずれまた。
体験者:謎の人物さん
僕の祖父が、前の家(僕が生まれる前の家)を建て直す際に、茶の間の畳をどかしたところ、大量の巻物が出現したそうです。
巻物は、その殆どが虫に喰われていたそうですが、うちいくつかは保存状態良好で残っていたそうです。
その後、20年以上巻物は忘れ去られて物置の奥に保管されてありましたが、丁度叔父が大学に入った時、叔父が大学で日本文学を教えてもらっている教授が、是非それを見せて欲しいということで、約数十年ぶりに引き出されました。
その内容を現代語訳に直してみると、以下のような奇妙な内容と解かりました。
明暦3年(1657年)。
静岡県の、今住んでいる土地に移り住んできた僕の先祖、海丸(かいまる)は、極普通の農民であったらしいです。
ある夏の日のこと、夜遅くまで海丸が弟の満則(みつのり)と田圃の仕事に暮れていると、近くの、田圃に水を引いている沼の方から、ずりずりと奇妙な物音が聞こえて来たので、気になって覗いてみたところ、上半身は口が耳のあたりまで裂けた女のそれで、下半身は蛇という3メートル近い珍妙な怪物が、沼の淵より上半身を出して、山犬(ニホンオオカミ)を喰らっているところに出くわしたそうです。
異形の女は、瞬く間に山犬を飲み込むと、海丸たちに向けてこう言ったそうです。
「私の醜い姿を見たな! 生かしておけぬ」
阿修羅の形相で沼から這い上がってきた怪物に、海丸は恐ろしくなって、持っていた農耕用の鍬を怪物に向けて振り下ろしたそうです。
それは偶然にも怪物の首に命中し、怪物は悶え苦しみました。
それを見た海丸と満則は、鍬を何度も怪物の身体へと振り下ろし、殺してしまいました。
茫然と怪物の亡骸を見やる海丸と満則のところに、突然一人の僧侶が現れて、こう告げたそうです。
「あなたたちの殺したこの物の怪は、遠い昔、ある女が、永遠の美しさを手にしたいがために、釈迦の宝を盗んだ罰としてこのような姿に変えらてしまったものなのです」
信仰心の強かった海丸と満則は、僧侶とともにこの哀れな女の罪を許してくださるよう釈迦に願うと、怪物の亡骸は一羽の鳥に変じ、空高く舞い上がっていったそうです。
……どうでしょうか? 海丸や満則という先祖が、本当に実在していたのか、そもそもこの話自体が本当にあったことなのか、それは解かりませんが、僕の推測からすると、これは、信仰心の強い僕のご先祖様が、何かの教訓として書き残した物ではないのでしょうか?
もう一巻、無事なもので、こちらは海丸が一人で山菜取りに行った時に遭遇した怪物の話もあるのですが、こちらは、いずれまた。
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