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帰ってきた誰か

2016/05/15

★帰ってきた誰か
体験者:匿名さん

小学校時代、転校が多かった自分は友達があまり出来ませんでした。
よく学校から帰ると、一人の寂しさからコタツに潜って泣くことも多かったように思います。
その時もそうでした。
帰ってくるなりコタツに潜り込むと、声を出さずに泣いていました。
その日、自分が体育の授業でミスをして、クラスのリーダーの機嫌を損ねたことが原因でした。気分が悪いと早退して、逃げ出すように家に帰ったことを覚えています。
いつも厳重に注意されているのに、鍵をかけることも忘れて泣いていました。
母親はパートでいません。

しばらく泣いていると、誰かが玄関の前に立つ気配がありました。
母が帰ってきたと思った自分は、息を殺していました。
少しの間があって、玄関に誰かが入ってきました。
しばらく黙って様子を伺うと、その誰かがコタツの周りをぐるぐる回っている様子でした。
母が探している、と出て行こうかとも思いましたが、泣きはらした目を見せたくなくてじっとしていました。
すると、冷蔵庫をあける音がして、また閉める音がしました。
ととと、と歩く音が遠ざかると玄関から出て行く音がし、最後に鍵のかかる音がしました。
母がまた出かけたことがわかると、安心して寝てしまいました。

目が覚めると、母が帰ってきていました。
いちど帰ってきたとき隠れててごめんなさい、と謝ると、母は何を言ってるんだという顔をした後、帰ってきたのは今が初めてだといいました。
夢でも見たんだろうと言う母に問いただすと、帰ってきた時に鍵はしっかりかけてあった、と言うのです。
冷蔵庫も調べましたが、何か盗られたわけでもない。
じゃあ、あれは誰だったのか。
夢だったのか。
それ以来、鍵をしめる習慣がつきました。
 
たきおんコメント
不思議なのは、こういう話のときに、「ぐるぐる回る」というのがキーワードになっていることです。
まるで何かを探すように、あるいは惑星の周りを回る衛星のように・・・。

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