漂着生物グロブスター
2013/01/13
時として、全く生物の形を成していない毛むくじゃらの物体が浜辺に打ち上げられることがある。
動物学者の故アイヴァン・サンダーソンは、こうした物体に「グロブスター」という名前をつけた。
●タスマニアの漂着死骸
1960年8月、タスマニア島の西海岸を襲った台風が去った後、海岸に以下のような奇妙な物体が打ち上げられていた。
- 中央部分が盛り上がった円形の物体
- 盛り上がった部分にはえらのようなものがあった
- 全体的に平たい
- 大きさは5.4m×6m程
- 重量は5~10t程と推定された
- 目、頭部、口、骨格が存在しない
しかし、誰も興味を示さないまま、時が過ぎた。
初めて学術的調査が行なわれたのは、1962年のことだった。
オーストラリアの連邦科学産業研究機構のブルース・モリソンは、以下のような報告を行なっている。
「標本は魚類でも、鶏でも、植物でもない。ましてや海洋生物でもない。マンボウではないかと推測する者もいたが、ヒレがなかった。」
そして、「海底洞窟から上がって来た物だ」とか、「マンモスの死骸」だとか、「地球外生物だ」などという説が挙げられたが、調査すればするほど、謎は深まるばかりだった。
●アラスカとオーストラリアの死骸
「不思議現象の父」と後に呼ばれた故チャールズ・フォートも、この事件について調べたが、類似した事件は2件しか発見できなかったという。
ひとつは、アラスカの氷原地帯で、体長7.2m、長さ1mの鼻のような突起物がある生物の死骸が、氷漬けで発見されたというものだ。
もうひとつは、オーストラリアのクイーンズランド州の海岸で、体長12m、長さ2.4mもの鼻がついており、気道が観察されたというものだった。
●南アフリカのグロブスター
南アフリカ・ナタールのマーゲイトに農場を持つヒュー・バランスは、1922年11月の朝、それを目撃した。
海を眺めていたときだ。
2頭の鯨が、怪物と格闘をしているのを発見した。
それは、白熊のような姿をしていたらしい。
水面から6m程体を出しており、尻尾のような物で鯨を叩いていたという。
格闘は数時間にも及び、浜辺は見物人で溢れかえっていた。
やがて怪物が浮かんだまま動かなくなったところで、鯨は姿を消した。
死骸は、夜になってから浜辺に打ち上げられた。
全長14.1m、幅3m、厚みは1.5m。
尻尾の部分だけでも3mはあり、反対側には長い鼻のような突起物がついていた。 鼻の先端はブタの鼻のようだったという。
更に、真っ白い体毛が全身を覆っていた。
死骸には、傷も出血の後も認められなかったらしい。
●スコットランドでも発見
1944年、スコットランド・マル島のマクリアニッシュという場所でも、同じような死骸が上がった。
しかしこの死骸は小さく、全長6m、象のような胴体で、頭の部分は欠損していたという。
死骸が白くて長い毛で覆われていたため、デイリー・メール紙は白熊と決めてかかって記事を書いた。
しかし、動物学者達は疑問を示した。
「体長が6mの白熊など存在しない」と。
また、普通体毛は海洋生物には生えないのである。
●南太平洋のグロブスター
あるダイバーがサメを追って深く潜っていくと、水温が急激に下がっていくのを感じた。
すると海底近くの岩の裂け目から、黒褐色のぶよぶよしたものが、ゆっくりと浮かび上がってきた。
この物体が近づくと、サメは動かなくなってしまい、物体がサメを包み込むと、岩の裂け目にゆっくりと戻っていったということだ。
やはり、未知の生物なのだろうか。
●バミューダのブロブ(肉塊)
1988年5月、テディー・タッカーという地元の漁師が、マングローブ・ベイの波打ち際に肉塊を発見した。
長さ2.4m、骨が無く、組織の構成は密度が高く、質感も硬く感じられた。
臭気も全く無い。
彼は肉塊の一部を採取したが、その表面は「まるでタイヤに切れ目を入れているようだった」という。
様々な学者に写真を送って鑑定してもらったが、分かったのは写真が合成ではないという事実だけだった。
●結局なんなのか
一説には、「巨大なタコかイカだろう」と言われているこのグロブスターだが、何故か徹底的な調査は行われていない。
結局のところ、正体は未だ不明のままだ。
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