サン・ジェルマン伯爵
2013/01/14
●謎に満ちた伯爵
18世紀、ルイ15世統治のフランス。
一人の男が宮廷の話題にのぼっていた。
名をサン・ジェルマン伯爵といった。
小柄だが整った容姿、穏やかな物腰、洗練された会話、膨大な知識。
フランス語はもちろんのこと、英語、スペイン語、ドイツ語、ロシア語、ポルトガル語、ヘブライ語、ペルシア語、アラビア語、サンスクリット語、中国語を話せ、楽器を弾いても絵を描いても玄人はだしだったというから驚きだ。
更に、彼はとんでもないことを言っていた。
アレクサンダー大王がバビロンの都に入場するとき自分もその場にいたとか、まるで見てきたように語ったのだ。
「カラス麦と水薬しか食べない」というので使用人にたずねれば、「まだ300年しか伯爵を知らない」と言う始末。
また、彼の実験室に招かれたカサノヴァが、言われるまま銅貨を盤の上に置くと、炎が上がって金貨に変わったという。
そして、再三の警告に耳を貸さないルイ16世とマリー・アントワネットに二人の運命を予言したり、当時は存在しなかった汽車や飛行機のことを詳しく語ったと言われている。
フランスの貴婦人は40年ぶりに彼に会ったとき、以前と変わらぬ姿に驚いている。
1987年、彼が西ドイツで死んだとされてからも、彼を見たという人が後を絶たない。
一説には、スパイだったとか、不老不死の秘術を会得したものだとか言われているが、一体彼は何者だったのだろうか。
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