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胸の上の老人

2016/05/14

 それは、初めて勤めた職場での出来事だった。
 年中無休のコンピュータのお守をする夜勤をしていた。
 その職場には仮眠室があり、仕事が空いている時は2時間交代で仮眠できた。
 仮眠中、胸が苦しくなったのでうっすらと目を開けた。
 うすぼんやりと、白装束の人が尻を向けて胸の上で正座しているのが見えた。
 直感的にそれが「おじいいさん」であることが分かったが、私はそのまま再び眠りについた。
 そこは、東京某タワーの足のひとつと隣接したビルで、その手の噂は絶えないところだった。
 しかし、あれが夢か現実か、今でもわからない。

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