謎の地底人
2013/01/14
●奇妙なビル
1943年のフランスはナチス・ドイツの占領下にあり、ゲシュタポによってパリの人々は苦しめられていた。
ナチは女性を地下室に強制連行して暴行を加えるなどしていたという。
そんな中、奇妙なうわさが流れた。
しかし、体験者や目撃者は皆無だったため、ナチが流したうわさだろうということになった。
だが、「死神が全世界を支配している」という教義のドルイド教団の集会所だった無人ビルに、奇妙な現象が起きていた。
- 真夜中に突然、地下から大きな機械を動かすような音がする
- 野獣の叫びのようなうめき声が響く
- 無人のビルに「シャンテ」という老人のエレベーターボーイが、昼夜を問わずにエレベーターホールにいた
しかしそんなビルも、恋人達にとっては格好のデートスポットだった。
●獣人の正体
1943年6月、18:06。
モンペリエ大学に通う19歳のカトリーヌ・H・モローは、信じられない状況に陥っていた。
恋人と待ち合わせのため例の無人ビルに入り、シャンテ老人に挨拶をしてエレベーターに乗ったところ、エレベーターは地下2階までしかないのに下降を続けていた。
エレベーターが停止して扉が開いたとき、そこにいたのは地下宮殿に住む謎の獣人だったという。
彼女のような女性が、30人ほどは監禁されていたそうだ。
彼女は後に彼らの特徴を、以下のように挙げている。
- 衣服を身に着けていない
- 全身がぬめぬめと無気味に光る青白いガマガエルのような皮膚
- ひどく太って醜悪にたるんだ胴体
- ガニマタ
- タコのようにぷよぷよとした坊主頭
- 鋭く尖った大きな耳
- 象のように垂れ下がった鼻
- 落ち窪んで猫のように金色に光る目
そして以下に挙げる、驚異のテクノロジーを見せ付けられたという。
- 岩盤をも貫く特殊光線で、世界中の光景を見る事が出来る地上透視テレビ
- 出血や痛みを全く伴わない外科用レーザーメス
- 地上の電気機器に干渉するトラクタービーム砲
- 人の心を操る精神操作電子銃
- 世界各国の言語を翻訳する特殊スクリーン
当時のナチを以ってしても、このようなテクノロジーは存在し得たはずが無い。
彼らの正体は、彼らのボスが投影した「地底王国デロの歴史と組織」という映画で説明されたという。
長い間の地底生活で退化し、獣人に成り下がってからも、当時のテクノロジーは稼動し続けており、彼らの遊戯の道具になっていたという訳だ。
彼らによれば、彼女の恋人もシャンテ老人も、彼らの手先だったということだ。
●物語の結末
ところがある日、突然銀色の宇宙服を着た人々が地下宮殿に現われ、ガス銃のような武器で獣人を追い払い、彼女たちを助け出したというのだ。
彼女たちが地上に出た場所は、パリのグートドール通りにある地下水道マンホールだったという。
彼女が家に帰れたのは、4ヶ月ぶりのことだった。
しかし、精神的ショックのため、15年間も精神病院に入院しなければならなかった。
そうして1958年、健康を取り戻したカトリーヌは、パリ警察と地底調査協会のメンバーと現地へ向かったが、出口は何者かにコンクリートで塞がれ、例のビルは崩れ落ちて調査不能だったという。
彼女が体験したことは、事実だったのだろうか。
2013/1/14 追記
この話はどうやら、リチャード・S・シェイヴァーという人物のレポートが元になっているらしい。
リチャード・S・シェイヴァー
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